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退職日は月末と月中でどう変わる?社会保険料の「損・得」の誤解をほどく

退職日は月末と月中でどう変わる?社会保険料の「損・得」の誤解をほどく

「退職日は月末にしたほうがいい」「いや、月末は保険料が1か月分多く取られて損」—— ネットや職場の噂では、正反対の話が飛び交っています。退職代行を使って辞める場合も、退職日をいつにするかは自分で希望を出せる数少ないポイントです。

結論からいえば、月末と月中のどちらが得かは、次の会社に入る日がいつかによって変わります。このページでは、よくある5つの誤解を取り上げ、日本年金機構が案内している「資格喪失」のルールをもとに、実際にはどうなっているのかを整理します(制度は改正されることがあり、個別の金額は加入している保険や収入によって異なります)。

まず押さえたい「資格喪失日」のルール

退職日と保険料の関係を書類で確認する人(イメージ)

誤解をほどく前に、仕組みの土台を1つだけ確認しておきます。日本年金機構の案内では、会社員の健康保険・厚生年金は次のように扱われます。

  • 社会保険の資格は、退職日の翌日に失う(この日を「資格喪失日」と呼びます)
  • 保険料は、資格喪失日が属する月の前月分までかかる

これを月末退職と月中退職に当てはめると、違いがはっきりします。

退職日の例資格喪失日会社の社会保険で納める最後の月その月の扱い
10月31日(月末)11月1日10月分まで10月は会社の健康保険・厚生年金
10月30日(月中)10月31日9月分まで10月は国民健康保険・国民年金などに自分で加入

たった1日の差で、「その月の保険をどちらで納めるか」が切り替わります。ここから生まれるのが、次のような誤解です。

誤解1:「月末退職は保険料が1か月分多くかかるから損」

実は、会社負担があるぶん、月末退職のほうが自己負担は軽くなりやすいケースもあります。

月末退職の場合、その月の健康保険料・厚生年金保険料は会社の社会保険で納めます。このとき保険料は会社と本人で折半しているため、本人の負担は半分です。

一方、月中退職で次の会社に入るまで空白がある場合、その月は国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を自分で全額払うのが原則です。日本は「国民皆保険・皆年金」の仕組みなので、会社の保険を抜けたから保険料ゼロの月ができる、ということは基本的にありません。

「1か月分多く取られる」と感じるのは、給与から差し引かれる額だけを見ているから、という面があります。月中退職でも、その月の保険料は別の形で支払うことになる点を合わせて考えるのが大切です。

誤解2:「最後の給与で2か月分引かれるのは二重取り」

実は、多くの会社が採用している「翌月徴収」の仕組みによるものです。

社会保険料は、前月分を当月の給与から差し引く「翌月徴収」で処理している会社が多くあります。たとえば10月の給与から引かれているのは、9月分の保険料というイメージです。

月末に退職すると、10月分の保険料を差し引ける「11月の給与」が存在しません。そのため、最後の給与から9月分と10月分をまとめて差し引くことがあります。これが「2か月分引かれた」の正体で、同じ月の保険料を二重に払っているわけではありません。

給与の締め日・支払日や徴収方法は会社によって異なります。最後の給与明細で控除額が想定と違うと感じたら、内訳(何月分の保険料か)を会社に確認するのが確実です。退職代行を使った場合でも、書類や明細の送付依頼は代行業者を通じて伝えられることが多いです。

誤解3:「月中に辞めれば、その月の保険料は払わなくていい」

実は、空白期間があれば国民健康保険・国民年金への切り替えが必要です。

月中退職で会社の保険料が前月分までになっても、退職日の翌日からは国民健康保険(または健康保険の任意継続、家族の扶養)と、国民年金(第1号被保険者)への加入が必要になります。手続きをしないままだと、国民年金の未納期間が生まれたり、国民健康保険料をさかのぼって請求されたりする可能性があります。

ただし例外として、同じ月のうちに次の会社に入社する場合は、その月の保険料は新しい会社の社会保険で納めるのが一般的です。この場合は月中退職でも空白が生まれにくく、自分で国保・国民年金を払う月は発生しにくくなります。

誤解4:「何日に辞めても、将来の年金には関係ない」

実は、厚生年金に加入していた月数にわずかな差が出ます。

月末退職ではその月も厚生年金の加入月としてカウントされ、月中退職で次の入社まで空白がある場合は、その月は国民年金の期間になります。将来の老齢厚生年金は加入月数と報酬をもとに計算されるため、理屈のうえでは1か月分の差が出ます。

とはいえ、1か月の差が将来の年金額に与える影響は大きくありません。年金のためだけに退職日を無理に動かす必要はない、というのが現実的な受け止め方です。体調や職場の状況を優先すべきときは、そちらを優先して構いません。

誤解5:「退職代行を使うと、退職日は選べない」

実は、希望の退職日を伝えて調整してもらうことは可能です。

退職代行は、本人の「この日付で辞めたい」という意思を会社に伝える役割を担います。無期雇用の場合、民法上は退職の申し入れから原則2週間で退職が成立すると解されているため、有給の残日数と組み合わせて「月末を退職日にする」と調整するケースも珍しくありません。

一方で、会社との間で退職日や有給の扱いについて交渉が必要になる場合、交渉ができるのは労働組合または弁護士が運営する退職代行に限られます。民間企業が運営するサービスは「意思を伝える」範囲にとどまる点に注意してください。退職日の決まり方は退職代行を使うときの退職日はいつになる?で詳しく整理しています。

本当に大事なのは「次の入社日」とのセットで考えること

退職日から次の入社までの流れを整理するイメージ

ここまでの内容をまとめると、退職日の考え方は次の3パターンに分けられます。

状況考え方の目安
翌月1日に次の会社へ入社する月末退職なら空白がなく、手続きも少なく済みやすい
同じ月のうちに次の会社へ入社する月中退職でも空白が生まれにくい。新しい会社の保険に切り替わる
次の勤務先が決まっていない月末・月中どちらでも退職後に国保・国民年金(または任意継続・扶養)の手続きが必要。月中退職だとその月から自分で納める

次が決まっていない場合は、月末か月中かよりも、退職後14日以内を目安にした国民年金・国民健康保険の切り替え手続きを確実に済ませることのほうが、実務上は大切です。健康保険の選び方は退職後の健康保険切り替え|国民健康保険・任意継続の選び方を参考にしてください。

退職日を決める前のチェック

  • □ 次の会社の入社日は決まっているか(翌月1日か、同じ月のうちか)
  • □ 有給休暇は何日残っているか(消化後の日付を退職日にできるか)
  • □ 賞与の支給日・支給要件と重なっていないか
  • □ 家族の扶養に入る予定はあるか(扶養の条件は家族の勤務先の健康保険で異なる)

なお、保険料の金額そのものは、給与の額(標準報酬月額)や住んでいる市区町村の国民健康保険料率によって大きく変わります。具体的な金額は、会社の担当部署やお住まいの市区町村の窓口で確認するのが確実です。

まとめ

  • 社会保険の資格は退職日の翌日に失い、保険料はその前月分までかかる(日本年金機構の案内による)。
  • 月末退職はその月も会社の保険で納め、保険料は会社と折半。月中退職で空白があると、その月は国保・国民年金を自分で全額納めるのが原則。
  • 最後の給与で2か月分引かれるのは、多くの場合「翌月徴収」によるもので二重取りではない。
  • どちらが得かは次の入社日次第。年金のためだけに退職日を無理に動かす必要はない。
  • 退職代行を使っても希望の退職日は伝えられる。交渉が必要なら労働組合・弁護士の運営かを確認する。

👉 退職日の調整まで任せられるサービスを探している方は、退職代行サービスを対応範囲・料金で比較するも参考にどうぞ。

あわせて読みたい

(社会保険の取り扱いは、加入している健康保険の種類や会社の給与計算の方法、個別の事情によって異なります。本記事は日本年金機構などの公表内容をもとに一般的な考え方を整理したものです。最終的な判断は、会社の担当部署・年金事務所・お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。)

よくある質問

月末に退職すると社会保険料が1か月分多くかかって損なのですか?

月末退職ではその月の保険料も会社の社会保険で納めますが、半分は会社が負担しています。月中退職でも、次の入社まで空白があればその月は国民健康保険・国民年金を自分で全額払う必要があるため、一概に損とは言えません。

最後の給与から社会保険料が2か月分引かれていました。二重取りですか?

多くの会社は前月分の保険料を当月の給与から差し引く「翌月徴収」のため、月末退職では前月分と当月分をまとめて差し引くことがあります。二重取りではありませんが、気になる場合は給与明細の内訳を会社に確認すると安心です。

退職代行を使っても退職日を月末に合わせられますか?

希望の退職日を退職代行に伝えて会社と調整してもらうことは可能です。ただし有給の残日数や会社との合意状況で調整の余地は変わるため、申込前に希望日を伝えて相談するのが確実です。